高学歴ワーキングプアの実態
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いかに氷河期世代とは言え、僕はたいして高学歴でもないし、中学、高校でそんな極端に勉学に勤しんだ訳でもないので、「自己責任だろ」とか「永遠の高卒初任給野郎」とか言われても「はい、そうですよ」で終わりなんですけど、大学院で博士号を取ったような日本の頭脳とも言える人達がワーキングプアになりまくっている現状を自己責任というのはいささかかわいそうすぎるというか、社会的構造の不備を個人の問題に矮小化しすぎだと言わざるを得ません。
大学院博士課程修了というと通常最低年齢は27歳なんですけど、浪人や留年などでつまづけばあっという間に30歳オーバーですからね。
30歳で博士を修了して、いざ就職しようと意気込んでも、多くの者はいくら探したところで自分が望むような仕事などどこにもないことに気付いて愕然とするんですよ。
大学の常勤講師なんてのは非常に狭き門ですし、なれたとしても月11万円程度の非常勤講師、民間企業では博士はいろんな意味で敬遠されます。
ハローワークに行っても
「博士様を社員として雇う会社はない」
と断られる有様ですよ。
博士課程修了者数の約1割が「死亡、不詳の者」つまり、社会との接点が確認されることなく姿が消えているというデータがありまして、
これが人文、社会科学の分野になると「死亡、不詳の者」は約2割となり、就職しているのは35%という絶望的な数字です。
博士全体でも就職しているのは57%
要するに博士卒の約4割は常勤の職を持たずに巷をさまよっている訳です。
(これらは2006年のデータでちと古いです、スイマセン…)
以前、「アエラ」という雑誌でも「さまよえるポスドク一万人」という特集で、ウェイトレスや警備のアルバイトをしている博士課程の院生が、就職の見通しが全く立たず、将来に対して大きな不安を抱いている様子が取り上げられていました。
既得権獲得のための大学院重点化によって院生が急激に増やされたものの、肝心の需要がないんですからね。
博士生産には実に多額の税金が投入されています。
そこまでの時間と労力をかけて博士を生産する理由は「欧米に匹敵する研究者数の確保と研究レベルの実現」という大義によるものだったはずなのですが、現実は増えたのは研究者ではなく、「高学歴ワーキングプア」だけだったという…
これでは税金の無駄遣いであるばかりか、膨大な人的資源の浪費を政府主導で行っているようなものです。
研究者を殺すことではなく、生かすために今こそ政府が政策課題として人的資源の再活用と再チャレンジへの活路を開き、博士活用に向けた緊急の環境整備推進や予算化を進める英断が求められるのではないでしょうか。