明晰夢の庵

懐かしの純喫茶でコーヒーをしばきながら

車椅子のお爺さんの絵

スポンサードリンク


以前病院で働いていたときの話なのですが、何度か入院したことのある70代くらいの車椅子に乗ったお爺さんからある日、事務の方に電話がかかってきました。

油絵を描いたからそっちに飾ってほしいので取りに来てくれとのこと。

好意を無下に断るわけにもいかないようで、事務局長に付き合って一緒に取りに行くことに。

 

病院に持ち帰り、診察室前の廊下の壁なら診察待ちの患者さんの目にもつくからいいだろうということで飾りました。

後日、お爺さんが病院に来て激怒するやいなや絵の返却を要求され、また家まで絵を運ぶことに。

どうやら飾った場所の日当たりが気に入らなかったらしい。

 

しかし数日後、飾る場所を変えるなら絵を渡してもいいと再度お爺さんから面倒臭い電話が…

事務局長も電話口ではわかりましたと了承するも切った後に

「もう勘弁してくれよホントにいらないから!」

とフロア中に響き渡る声量でぶちまけてました。

また絵を取りに行って持ってきてホールのガンガン陽が入りまくるところにスペースを空けて飾ったら流石に文句は言ってきませんでした。

 

画家でもない一般のお爺さんが趣味で描いた絵をわざわざ家まで出向いて下手に出て貰って尚且つ飾ることまで要求される時点で既に謎だし、きっぱり断って突っぱねればいいじゃんと思うのは簡単なんですが、実際は組織のトップでもない限り独断で勝手な対応を取るわけにもいかず、波風立てずに穏便に済ますしかないようで。

でも理不尽に対して自分の裁量で動けないってのもアホくせーな~って思いますよね。